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タイ人無料・外国人約2000円・・・海外の観光地では当たり前!? ”二重価格”の現状は 日本での導入に専門家は「慎重に」

ゴールデンウイーク期間中、日本人に人気のタイでは多くの観光客が訪れています。そうしたタイの多くの観光地に導入されているのが「二重価格」。運用状況などについて現地から伝えてもらいます。

タイでは当たり前「二重価格」

JNNバンコク支局 村橋佑一郎記者
「サワディーカップ!タイの首都バンコクにある人気観光地『ワットポー』や『王宮』がある地区に来ています。」

いまタイは暑季を迎えていて、日中の気温は40℃近くになるものすごい暑さですが、多くの観光客でにぎわっています。

今年のゴールデンウイーク、日本からの空の便の売れ行きは、東南アジアのタイやシンガポールが好調だということで、ここバンコクにも多くの日本人観光客が訪れています。

さて、そんなタイの観光地でいまや当たり前になっているのが、二重価格です。外国人観光客にはどのように受け止められているのか、取材しました。

入場料タイ人と日本人で2000円の差!?

JNNバンコク支局 村橋佑一郎記者
「タイを代表する観光スポットといえばこの王宮です。きょうも多くの観光客らでにぎわっています」タイの近代化を象徴するような宮殿と、豪華絢爛な装飾の仏教寺院。多くの観光客を魅了する王宮ですが、入場料金はというと。JNNバンコク支局 村橋佑一郎記者
「こちらにはタイ語でタイ人無料と書いてありますが、こっちには外国人価格で500バーツと書かれていますね。日本円で2000円ぐらいです」

タイ人と外国人で2000円ほどの差があるんです。こうした二重価格について、外国人観光客は不公平だと感じているのでしょうか。

二重価格に外国人観光客は

インド人観光客
「観光の収入源になるわけですよね。現在の観光業はそういう仕組みが普通です。もう少し価格を下げてくれると嬉しいですが、まあ妥当な金額だと思います」ドイツ人観光客
「外国人価格が事前に分かっていれば、これは支払うけどこれなら支払わないと自分で決めることができるので大丈夫」オランダ人観光客
「ヨーロッパで私たちが無料で教会に行けるように、タイの人たちにもその権利はあると思います」
「二重価格に不満があるなら海外に行かない方がいい。家にいなさい」二重価格は、タイ国内各地の国立公園など多くの観光施設で導入されていますが、運用の仕方は自治体や事業者によって異なります。例えば、動物園の「サファリワールド」は、タイ人が大人1人800バーツ(約3200円)外国人が大人1人1500バーツ(約6000円)ですが、労働許可証を持っているタイ在住の外国人であればタイ人と同じ価格になります。

容姿や言葉で判断も

タイ名物の三輪バイク「トゥクトゥク」も二重価格です。タイ人スタッフ
「チャイナタウンまでいくらですか?」

運転手
「150バーツだよ」

運転手は、タイ人の取材スタッフに150バーツ(約600円)と言いましたが、日本人の記者が同じ距離の料金を尋ねると・・・運転手
「300バーツだ」

2倍の300バーツ(約1200)を求められました。容姿や言葉で、タイ人かそうでないかを判断しているようです。

日本人観光客の反応は

日本でも導入が広がろうとしている二重価格について、タイを観光していた日本人にも聞いてみました。日本人観光客
「日本だからこそ、スペシャルな経験をしたいと思った人たちがやってきているので、そこに対してお金を払うことは彼ら(外国人観光客)もいとわないと思いますし、それによって施設が潤ったり、税収が入ったりすることによって色々な物事が良くなると思いますけど。何でもかんでも平等主義ではなくて、そこに払いたい人が払うというのが原理原則なのではないかと」

タイ国内では一部反対の声も

JNNバンコク支局 村橋佑一郎記者
「このように、取材したところでは、皆さん肯定的に受け止めていた印象でした。」

ただ、中には反対の声もあるようで、一部の現地メディアは、“タイは経済発展が進んで中間所得層も増えているのだから、タイの人たちからもお金をとるべきだ”と主張していました。

新たに「入国料」徴収の動きも

一方、新たな動きとして、タイ政府は年内にもタイを訪れる外国人を対象に、いわゆる観光税として1人300バーツ=約1200円の入国料の徴収を始めるということです。

これは、タイでも一部地域で問題になっているオーバーツーリズム対策の一環でもあるということなんですが、外国人観光客からはどんな反応があるのか気になるところです。

二重価格について村橋記者は

Q、タイで生活していて二重価格についてどう感じる?
JNNバンコク支局 村橋佑一郎記者
「最初は高いなと感じることもあったがいまはもう慣れてきた感じ。タイ語でタイ人価格が表示されているところもあり、タイ語が読めない外国人は二重価格になっていることすら気づかないケースもある。あえて分かりにくくしているのかなと疑問に思う。」

Q、二重価格で徴収した金額はそれぞれの施設でどのように使われている?
JNNバンコク支局 村橋佑一郎記者
「現地メディアによると、施設の運営維持費やスタッフの人件費、一部は税収として納められているという。ただ、国立の施設も含めてこうしたお金の使い道はほとんど公表されていない。二重価格にするのであれば、透明性のある運用も必要になるのかなと感じる。」

日本での導入 専門家「慎重になるべき」

日本での二重価格の導入について、専門家に話しを聞きました。立教大学観光学部 西川亮 准教授
「端的に言いますと少し導入には慎重になるべきではないかなというふうに考えてます。二重価格は主に新興国、あるいは発展途上国での仕組みになります。それを経済大国である日本が行うということが、そういった国々の考え方と同じように日本が捉えられてしまうという可能性はあると思います」

また、日本ですでに導入されている市民割や県民割と違い、国籍という概念で価格を分けてしまうのは、差別に繋がる恐れがあると西川准教授は言います。立教大学観光学部 西川亮 准教授
「日本国憲法における平等は規定の部分ですとか最近の国会で二重価格の議論がなされているんですが、不当な理由で宿泊とか公共交通の値段を変えることはやっぱり差別に当たるんではないかと判断がなされていますので、おそらくまた日本国内の文脈での議論が必要ではないかなとは思います」

詳細は NEWS DIG でも!↓
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/rkb/1896656

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